間違いだらけの新型コロナウィルス感染症

 TBSのサンデーモーニングでも関口氏の発言「関口宏、広がる院内感染に疑問「医療従事者の方たちの苦労は本当に大変…でも、どうして専門家なのにうつってしまうんだろうっていう疑問はぬぐえない」」が炎上している。
 私も先日掲載(2020年04月23日)したブログ「新型コロナウィルス感染症騒動」(https://dr-kimur.at.webry.info/202004/article_2.html)の内容から以下のような書き込みをした。
「感染者は発症2~3日前から他の人に感染させる。そして発症する0.7日前が最も感染力が高い。しかし、濃厚接触者の定義を発症後に濃厚接触した人から発症2日前以降に濃厚接触した人に変更したのは4月21日のことである。すなわち、それ以前の4月21日の時点までは感染はさせないだろうと思われていたウィルス感染者が多くおり、そうした対応をしたのであれば、感染する可能性が非常に高かったことになる。
武漢で感染拡大が広がった1月からは、「感染者は発症前の潜伏期間から他の人に感染させる」ことが声高に言われて来たのだが、どういう訳か濃厚接触者は発症後に濃厚接触した人と定義され、クラスターが発生しても発症3日前からの濃厚接触した人は追跡しなかったし、病院内でもそうした発症前の濃厚接触を定義通りに受け止めていたのであろう。
この定義ミスとPCR検査を抑えて来たことが市内感染拡大と院内感染が広がった原因でもある。」
 また、返信には、
「4月25日に放送されたNHKスペシャルでは感染者が発症する前(何日前かはなかったが)からの接触者も追って院内感染を抑えることに成功したと報告があった。」
と追加した。
 しかし、こうした事実を述べたコメントは日本人の中では見て見ない振りというか、無視されるもののようだ。数1,000件もある書き込みの中には、感染者が発症前から人に感染させているという内容はほんの数件しか見られないが、それらは医療従事者の書き込みと思われる。やはり、感情的になって関口氏を非難し、誹謗中傷する書き込みが支配的で、日本国民は「誹謗中傷」が大好きのようだ。その中には現場の医療従事者の悲惨な現状や医療具の不足を訴える書き込みもそれなりに見られる。しかし、こうして炎上してしまった中の書き込みを読むと、幾ら現場で頑張っても、新型コロナウィルス感染症に対する正しい、あるいは正しいと思われる妥当な内容や分析結果が示されては来なかったことも分かる。そうした実情には合致していない内容があることを現場で奮闘している医療従事者は薄々気付いて来ているようなことも推測される。

 この半世紀を振り返るとエラーしかなかった厚生省は厚生労働省となった今でも、その本質は変わってはいない。
 日本経済新聞電子版には「新型コロナ感染者「8割は他にうつさず」 厚労省見解」(2020/3/1 22:31)が掲載されている。「発生する小規模な患者の集団「クラスター」の分析を厚生労働省の対策班が進め」た結果の結論だとある。この内容と世界の他の地域、例えば武漢市などの感染拡大のスピードからはとても受け入れられない内容であると思ったものだ。しかし、この分析で厚生労働省の対策班が追跡したのは感染者が発症してからの濃厚接触者だけであり、発症する3前前からの濃厚接触者を追跡してはいないのだ。あるいは、4月21日に濃厚接触者の定義を発症2日前からの濃厚接触者に定義変更しているのであるから、定義変更後に、こうした分析や見解が間違いであったことを公表すべきである。
 今になって都内での感染者のグラフを眺めていると、1日にほんの数人の感染者しか確認されなかった頃から感染経路不明者が出て来ており、それが急速に増え出していることが確認できる。最初から厚生労働省のクラスター対策班はエラーをし続けて来たことが分かる。それは、感染者が感染力が最も高いピークになる発症前の濃厚接触者を見過ごして来たからだということが原因であることは自明のことだ。

 書き込みには日本には感染症の専門家など存在しないという書き込みも何件か見受けられたが、この4ヶ月の経過を振り返ってみると、私もそうした見方には同調せざるを得ない。
 若い頃に国内の移動通信関連の博士にはろくなレベルの者がいない(https://4travel.jp/travelogue/10897449)と悟ったことがあるが、医学や感染症の分野においてもそれが当てはまるようだ。不幸な国に生まれついたものだ。

  TBSのサンデーモーニングで炎上した関口氏の発言以降にはまともなものも出て来ている。聖路加国際病院 QIセンター感染管理室マネジャー坂本史衣氏の「新型コロナウイルス感染症の院内感染はなぜ起こるのか」(2020/4/27)と「症状がない人もマスクをつけるべきか?」(忽那賢志(4/26(日) 14:02))などである。
 「新型コロナウイルス感染症の院内感染はなぜ起こるのか」では、
 「4月20日現在、全国19都道府県の54施設で院内感染が疑われる事例が発生し、感染者数は783人にのぼります。」と、濃厚接触者の定義が変更される前になっている。それならば、発症後の接触者が濃厚接触者になる訳であるが、どういう訳か、「新型コロナウイルスのもう一つの厄介な特徴に、症状が出る2日ほど前から直後にかけて、感染者の上気道(鼻から喉のあたり)で増殖するウイルス量が最も多くなるということがあります。」とある。この内容は「症状がない人もマスクをつけるべきか?」(忽那賢志(4/26(日) 14:02))を参考にしているようで、坂本史衣氏が濃厚接触者の定義変更後(4/21)以降に知った知見であるようだ。しかし、中国・武漢で感染が拡大した時点から言われていたことなので、潜伏期間中でも他の人に感染させるということは実感していたと思われる。

 また、「新型コロナウイルス感染症と診断された医療従事者48人の調査によると、初期症状として発熱や咳が現れた人は全体の半数にも満たないことが分かっています。また、発熱、咳、息切れ、のどの痛み、筋肉痛、悪寒のいずれかで新型コロナウイルス感染症を疑った場合でも、感染者の約85%しか早期発見できないとしています。」とある。すなわち、医療従事者が新型コロナウイルスに感染していても初期症状が出ない感染者の半数以上が医療に従事し、その間に感染を広げているということだ。
 あるいは、「医療機関はエアロゾルの大量発生が起こる場面が多いのが特徴的です。」とも指摘し、「新型コロナウイルス感染症は、必要な防護具を適切に使うことができた場合、そう簡単に院内感染を起こすような感染症ではありません。それはこの感染症の患者さんをこれまで100名以上受け入れてきた病院の感染管理担当者や感染症専門医が感じているところです。」と前置きし、「院内感染のリスクが生じるのは、新型コロナウイルスの可能性を疑わず(あるいは症状が乏しくて疑えず)に、医療従事者が無防備に感染者に接した場合や、必要な防護具が適切な方法で使えない状況があった場合です。」と結論付けている。
 こうした内容が濃厚接触者の定義が変更された(4/21)先週の内に掲載されていたならば、関口氏の炎上発言も出なかったのかも知れない。あるいは、関口氏の炎上発言が出たので掲載されたと考える方が自然か。

 なお、忽那賢志氏は感染症専門医という肩書で「新型コロナのスーパースプレッダーにならないために」(3/3(火) 8:10)(https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200303-00165593/)と題して、「20/80ルール」を解説してこの「新型コロナ感染者「8割は他にうつさず」と発表された厚労省見解を理論付しているのである。「8割は他にうつさず」が本当のことであれば、「2割の他にうつす人はスーパースプレッダー」になってしまう。しかし、その後の国内での感染拡大の中で、クラスターを追ってこうしたスーパースプレッダーが多く出現したことは報道されたであろうか?数10ヶ所のクラスターとなった施設が公表され、感染者が追跡されたが、感染者が一緒に暮らす家族とか数人の感染者の広がりしか報告されず、スーパースプレッダーと呼べるほど身近に多くの感染者が出ている例は少なかった。そのため、その後はスーパースプレッダーという言葉は消え去った。すなわち、スーパースプレッダーは殆ど出現しなかったのだ。濃厚接触者の定義が変更される前でも感染者の同居者は家族が感染する前から同居しており、発症前か発症後にうつしたのかは殆ど問題にはならなかったのであろう。同居者=濃厚接触者と見なされたのであろう。

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